くれなずめ 成田凌祭りその2

くれなずめ。4月29日からの公開が延期になってしまったけれど

これも見逃せない作品です。

久々に試写会に当たり、必死に時間を調整して観に行きましたよ、雨嵐の中を渋谷まで。

 

松居大悟監督の映画はなんと「アフロ田中」以来だった…。

あとはテレビでバイプレイヤーズシリーズくらいかも。

(観たい作品は結構ある。アズミ・ハルコは行方不明とか君が君で君だとか)

 

というわけで久々の松居監督作品。

 

そこまでする甲斐のある映画でした。

ほんと、成田凌出演作品につまらない作品がない。すごいな。

f:id:suzusawa:20210506135122j:plain

くれなずめチラシ

高校時代の同級生6人。

久々に結婚式の余興練習で集合する。

主役の成田凌は今回なんとなくおっとり男子。

高校時代と現代とその間を行ったり来たりするお話なので

男子たちのわきゃわきゃした日常の話かなーとまったり観ていると

最初から変なセリフが唐突に投げ込まれ

 

んん?

 

と思っていると

序盤にとんでもない秘密がいきなり明かされる。

でも

 

え?

 

と思う観客をよそにシレ―っと話は進む。

ずんずん進む。

最後のほうは唖然としてしまった。

なんじゃこりゃー!

 

よくわからないことしか言えないので要所要所での感想をば。

 

高良健吾がものすごくいい塩梅に

スピッツの運命の人の歌詞をさらりとセリフで言ったりする。

主題歌、キーになる曲はウルフルズなんで、ある一定の年齢層の男女には序盤から何かわからないが矢が刺さりまくりである。

ちょこちょこでてくるカメオ出演の俳優陣も豪華でおいしいし。

f:id:suzusawa:20210506135444j:plain

高良健吾成田凌

 

同級生たちみんな味があってスゴクいいのだけれど、この高良健吾もいいし

 

私としては

若葉竜也を推したい。

最近の彼はすごくいい!

街の上で未見なんだけど、観たい。

AWAKEでの将棋棋士の役もよかった。

f:id:suzusawa:20210506135434j:plain

若葉竜也成田凌

この作品でも、ちょっとやさぐれたような

でも熱い心をもって芝居をしている青年といった風情を存分に魅せてくれる。

トイレでふと思いついたように脈絡のない(ようにみえる)つぶやき。

成田凌だけ一人早く帰るというときに彼の発するセリフ。

どれも味わい深くてよい。あとからクル。染みるのです。

 

そして、ほぼ紅一点といってよい前田敦子

f:id:suzusawa:20210506135118j:plain

前田敦子成田凌

 

あまりじっくり作品で観たことがなかったんだけれど

素敵な女優さんなんですねぇ。

この写真での場面なんてすごく良かった。

ちょっとエキセントリックで、本音を怒鳴りながらしか言えない、照れが怒りになる女子。

 

私も、成田凌の役柄の立場なら彼みたいに過ごしてみたいかなあ。

いや…黒歴史をみるのが堪えられない気がするのでいいかもしれない。

でもこんな風に友人たちとくだらない話がいつまでもできたらいいかもしれない。

 

いくつになっても馬鹿でくだらないことに笑いあって

じゃあねーと手を振る人生を送れたらいいね。

という気持ちになる映画。

 

成田凌祭りは次回「窮鼠はチーズの夢をみる」で〆ようかな。

まともじゃないのは君も一緒 成田凌祭りその1

f:id:suzusawa:20210420192933j:plain

大野と香住

2019年あたりからの成田凌の勢いは凄まじかった。
去年も
窮鼠はチーズの夢をみる での今ケ瀬渉は横で一晩話を聞いてあげたいという
せつなさと可愛らしさと生々しさが立ち上ってくるような素晴らしい造形の人物を演じていたし
さよならくちびるのシマもなんとも魅力的
糸では菅田将暉演じる主人公の幼馴染を屈託なく演じ…とまさに自分が見た映画だけでも八面六臂の活躍。
なんでも演じる成田凌
そしてなんでも実在する人物の手触りにしちゃう成田凌

その彼と清原果耶主演のラブコメと聞けば観るでしょう!
清原果耶もたたずまいが堂々としているのに、なんとも清廉な風を感じる存在感でどんな物語かなあと期待してみたら
期待通りのなんともかんとも「まともじゃない」からこそ愛おしい2人がそこにいました。
数学の世界に生きていて、数字の美しさに魅入られている男でありそれ以外の常識はほぼすっぽ抜けているまともじゃない大野。
その大野が塾での先生で教え子である香住(清原果耶)。
全然話が通じない、かみ合わない二人だけれども
ちょっとした言い合いから、香住は大野を利用して
自身のあこがれの教育評論家・宮本に近づき、かつ宮本の婚約所との間を割いてしまおうと荒唐無稽な計画をたてる。

が、これが結構うまくいってしまうわ、香住はだんだんモヤモヤするわ、大野はなんだかまともになっていくわ
評論家宮本は胡散臭いわ…
それぞれがちょっとずつへんでダメな人なんだけれども、そこがチャーミング。

 

そうそう。評論家役の小泉孝太郎も凄いハマり役。

f:id:suzusawa:20210420193024j:plain

評論家の宮本

この人は大河ドラマ徳川慶喜がすごく良くて策略家で下衆なのに、騙されても仕方がないなと思わせるような底知れぬ魅力を称えたカリスマ性を放っていて、さすが政治家一家の出!と思ったのだが
今回もその路線で、爽やかで妙に説得力があるのに中身が空っぽで下衆っていう評論家をひょうひょうと演じている。
すごいなー、こんな毒のある人物を説得力を持って演じる俳優さんになるとは思わなんだ。

そして、成田凌のとぼけっぷりとでも誠実な人物の魅力と清原果耶のちょっとめんどくさい耳年増な女子なのにそのめんどくささがまっすぐ過ぎてカワイイがかけ合わさって可愛いの大渋滞を起こしているカップルの出来上がり。

香住がワーワーいって、大野がうんうん聞いて
それで?それのどこがダメなの?とか聞いては香住にイラつかれたりしながらコミュニケーションとっていくんだろうなあ、この二人。
ああ、かわいい。
幸せな気分になれる映画です。

花束みたいな恋をした を懐かしい目線でみることができない

f:id:suzusawa:20210329221453j:plain



【映画パンフレット】花束みたいな恋をした 監督 土井裕泰 出演 菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、オダギリジョー、

みましたよ。花束みたいな恋をした

ああ、こんな風に恋が始まったら楽しいよね

ああ、こんな風に馴染んで、そして冷めていくよね

だって、あんなに趣味があったのに、そのテンションが仕事や世間やらで曇って

それぞれに距離ができちゃったんだもの。

 

とまあ、ヒットする理由もわかるし

主役の二人がかわいいし、リアル。

素晴らしい作品だということに異論はない。

だがしかしbut、私はこの恋愛に共感できないということに観ていて改めて気づいてしまった。

私が男なら有村架純演じる絹と絶対付き合いたい。

可愛いし、サブカル女子っぷりもかわいいし

もうあれこれ好きなものを力説する姿は溜まらん。

わかる、あの絹ちゃんを好きになる理由がわかりみが過ぎる!!!!!

 

でもね、でもですよ、女としてみた菅田将暉演じるサブカル男子・麦。

私は、サブカル女子が大好きな癖にサブカル男子が嫌いなのだよ。

 

思えば、麦のような本や映画やアートの話ができる男子が学生時代周囲にいっぱいいた。

なにせ文学部だったんでね。文学部男子なんてサブカルの権化しかいない。(いや言い過ぎw)

美大ほど尖りすぎていない、まさに麦のような男子がわりと目につく範囲にいたんである。

 

なのに。

私は彼らと趣味の話をしたくなかった。

同性のサブカル女子とはさんざんそういう話でわーキャーやっていたのに

異性と趣味や感性やそういった価値観の共有をすることに全然興味がなかった。

実はいまだにそういうところは健在なので

この映画は一人で観た。夫はこういう映画は絶対に観ない。

本の話もしないし、読む漫画のジャンルも基本別だし、好きな映画のジャンルも実はあんまりかぶっていない。

普段から作品の感想なんて語り合わない。

真面目に議論を戦わせたりもしない。

日ごろからものすごくくだらない話しかしない。

というか、相手が何を考えているのかという点について、それほど大きな興味をもっていない。

f:id:suzusawa:20210329221502j:plain

こういうドライヤーで乾かしてもらうっていいなーとは思うけれども、そういうことがさりげなくできる男子じゃなくても全然かまわない。

ある意味、私の中で付き合う男性と映画の中の俳優にきゃーきゃーいうことに大きな境目がないという恐ろしい事実に気づいてしまって、ちょっと哀しくなった。

 

 

なんというか、私にとってパンドラの箱のような作品。

セリフが言い回しがちょいちょい詩的なのに、自然。

生々しい質感をもって観ている観客が自分のことのように感じられるように演じることができる稀有な俳優さんたちがスクリーンに焼き付いている。

佐藤健と函館と観光の記憶

世界から猫が消えたなら

 

先日、佐藤健氏がロケで函館にいたとき(世界から猫が消えたならの撮影中の話だと思われる。)あちこち食べ歩いたという話をしており

 

梅乃寿司

という店名がでた。

覚えがあるな~でもちょっと自分の記憶と店の場所が違う気がする

と記憶を頼りに検索したら、同じ店だった。

私が函館にいったのはもう15年以上前の話。

その時に函館を案内してくれたのが

以前一緒に働いていた方が転勤でその地にいる時だった。

その人は非常にグルメでかつ旅行好きだったので

快く自分がよい、おいしいと思うお店や場所を次々を案内してくれた。

そのうちの一つが梅乃寿司だった。

 

当時このお寿司屋さんは函館から少し離れた森町という場所にあり

長く地元の人々に愛され美味しいと評判のお店だった。

その方が車で連れて行ってくれなければこちらは行けなかった。

すごくおいしくてテンションあがったのを覚えている。

と思ったら、その後そのお寿司屋さんは函館市内に店を移し

かつ、さらに評判が評判を呼びミシュランで星がつくようなお店になっていたことを今回の検索で知った。

 

私にとってその函館はどこを案内されても素晴らしい、良い旅だった。

再訪したいと思いつつ、それ以来北海道そのものに行くことができていない。

 

 

そして、この旅行から帰ってきたばかりのときに当時某掲示板で函館の観光について質問している方がおり

私はそこに回答してみた。

 

というのも、その案内してくれた方はもともと東京の人で

本人も転勤で来たばかりのときにあれこれおススメを教えてもらったそうだ。

その中で、地元の人が教えてくれるお店にハズレはないが

観光地については、地元が押す場所は少し違うと感じたと言いながら

自分やよそから来た人間が比較的喜ぶところと地元民に薦めらえたところ両方を回ってくれた。

そして、私もこの転勤族の同僚がいうよそ者が感動する函館の方により感動した。

 

それまで、地元民にきく見どころ、お店が一番だと思っていたのだが

そうではないこともあるということを実感したのだ。

そこで、その掲示板で観光客として参考になればと書き込んだのだが

よく書き込んでいるらしい地元民の回答者にそれをおもいっきり皮肉られた。

 

観光でそちらの方をみんなみてよいというけれど、地元民としては

絶対にこっちの方がいいのに、非常に表面的で薄っぺらい。

ぜひ、地元民としてそちらではなくここを観て欲しい…

  

云々と書かれてしまった。

 その方は、常に苦々しく思っていたのだろう。

 

でも、日本を観光する外国人が増え、なぜここにこんなに外国人が?と思うと

日本人が思いもよらぬところをすごく褒めていたり、感動していたりする。

 いろんなところを見てもらえばいいのになあ…とがっかりした記憶までも佐藤健氏の声によって引っ張り出された春先の夜。

 

 あ、世界から猫が消えたならはいい作品です。

私の中では、この作品の中での母親と主人公の話が

亡くなった幼馴染と自分の話にリンクして切ない。

良い映画は作品の中のエピソードが無数の人の個人的な思い出とシンクロする。

自分にとって身近な人がいついなくなるかわからない。

会える時に会える人とあって、話して、思い出を紡いでいきたいと思える作品です。

幼馴染とも函館、行きたかった。